No.56 あじさいにカタツムリ(ぬかた園地)

 梅雨の晴れ間に、ぬかた園地のあじさい園へ出かけてきました。あじさい園では、つづら折りの遊歩道沿い、1.5kmにわたって2万5千株のあじさいが色とりどりに咲いています。ガク(萼)が発達した装飾花が手まりのように咲くホンアジサイと、装飾花が花を取り巻くように咲くガクアジサイとが巨大なウォールとなって迫ってくる姿は壮観です(下、写真1~2)。また、ヤマアジサイや西洋アジサイの仲間など、30種類を超えるあじさいがあり、装飾花のガク片が二倍以上になるシチダンカ(七段花)(下、写真3)、カシワのような葉の形をしたカシワバアジサイ(下、写真4)、装飾花が白から赤に変化していくベニガク(下、写真5)など、いろんな形、いろんな色のあじさいを楽しめます(下、写真6~7)。

 

 今年は、残念ながら、あじさいまつりが中止となりましたが、園内は自由に散策することができます。ぬかた園地のあじさい園のMAP、あじさいの品種リストについては、以下のぬかた園地のHPをご覧ください。

http://osaka-midori.jp/mori/chubu/frowers.html

 ところで、梅雨時というと、カタツムリが楽しそうな顔をして、あじさいの葉や花にたたずんでいるイラストをよく見かけますが(左図)、街中では、あじさいの植栽があっても、カタツムリを見かけることがないので本当かなと思ってしまいます。また、ネットには、あじさいの葉には毒があるのでカタツムリがあじさいの葉にいるのはウソという記事もよく出てきます。そこで、あじさいにカタツムリが普通にいるのかどうかを、あじさい園で調べてみることにしました。

 あじさい園を遊歩道に沿ってゆっくりと歩きながら、カタツムリがいるかどうか、アジサイの花と葉をながめてめていきました。(さすがに、葉を一枚一枚裏返しては見ません。数が多すぎて日が暮れてしまいます。) 少し、歩き出すと、ホンアジサイの葉の裏側についてました。結局、遊歩道沿いで11匹見つかりました(下、写真8~11 カタツムリが花の近くにいてよく見えるもののみをのせてます)。

一度だけの観察ですが、今日の気づきをまとめます。

 

①あじさいにはそれなりの数のカタツムリがいた。

 交野や生駒の府民の森を散策した際に、見つかるカタツムリが数匹位という印象と比べると多いように思いますが、カタツムリはあじさいが生育するような湿気のある場所に生息することを考慮すると、多くも少なくもなく、それなりにというように思います。

 街中で、あじさいにカタツムリを見かけないのは、都市や郊外で乾燥化などの環境が変化して、カタツムリが数を減らしていたからかもしれません。実際、横浜市の全小学校を対象とした生き物調査2016の結果(*1)でも、カタツムリを見かけなくなったという意見が出ていたようです。

 

②あじさいの葉にくっついていて、葉を食べた痕は見かけられなかった。

 以前のあじさいハイキングの写真(https://www.japan-parkranger.com/府民の森パークレンジャー/中部チーム/#link1 2019/6/16)を見直していたら、ツノを出して動いている写真もありますが、食痕はみかけられません。因果関係は定かではないですが、あじさいの葉には毒成分が含まれていてカタツムリが食べないと言われている事とは一致しますね。

 

③今回見つけたカタツムリは、全て右巻きで、同じ種類のように見えた。

 識別には自信がありませんが、ナミマイマイの仲間でしょうか。カタツムリは移動範囲が狭くて、地域で特有の種に分化することが起こりやすいそうです。あじさい園という特殊な環境下でどのように変わっていくのかは興味深いですね。

 

 今回調べてみる前には、”あじさいにカタツムリ”は”梅にウグイス”のように、ホーホケキョとさえずるウグイスを、見栄えのする黄緑色のメジロに置き換えた創作のたぐいではないかと思っていました。街中でカタツムリを見なくなった昨今、梅雨の風物詩として、描き残していく風景なのかもしれません。

(ます 2020/06/30)

 

*1)こども「いきいき」生き物調査 2016 結果報告書, 横浜市環境科学研究所, H28.12

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kankyohozen/kansoku/science/naiyou/tayosei/ikiiki.files/0407_20180830.pdf

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